それは、ある日突然訪れます。
年末に掛かってきた、1本の電話。お義母さんが笑いながら話してくれました。
一瞬、時が止まりました。
私は母を癌で亡くしています。元気のないお義母さんの声を聴いて十数年前のゾワっとした気持ちを思い出しました。目の前が一気に真っ暗になって、次に襲ってくるとてつもない喪失感。
1度体験したことは簡単には忘れません、記憶が体に染みついていました。
その連絡を受けてから私たちはできる限り毎日電話をして、テレビ電話をして、できる限り北海道へお義母さんに逢いに行きました。
その10ヶ月後、お義父さんから容態が急変したと連絡を受け、その日の夜に北海道へ向かうと、到着して直ぐまるで私たちを待っていてくれたかの様にお義母さんは天国へ旅立ちました。
お義母さんは北海道、私は横浜。癌と連絡を受けてから、遠く離れた場所で『私に最大限できること』を考えて生活したこの10ヶ月間。
十数年前に母に対して抱いていた気持ちを思い出して意識したこと、主人と一緒に実行したことをブログにまとめてみました。
- 大切なご家族が闘病中で一緒に戦っている方
- 闘病中のご家族に何をしてあげられるか模索中の方
- できる限り何かをしてあげたいと悩んでいる方
に読んでもらいたい記事です。
読みたい目次をクリック
はじめに:『出来ることは沢山あるけど、何をどれだけやっても絶対に後悔する』
『出来ることは沢山あるけど、何をどれだけやっても絶対に後悔する。だけど、できることを精一杯やって欲しい』
母の介護生活で1日中付きっきりで生活していた頃、デイケアの看護師さんに言われた言葉です。
どれだけ何をやっても『ああしてあげれば良かった』『もっとこうすれば良かった』と必ず後悔する。それでも考えて家族のために自分が出来ることを精一杯やってあげて欲しいと言われました。
いざ、お別れの時が来たら『誰でも必ず後悔する』という言葉は逃げ道に使いなさい。と言われました。
この言葉を思い出して主人にも伝えました。夫婦になって、結婚式や、家の購入、子育て等の『前向きな計画』についての話し合いは沢山してきました。
けれども『悲しいこと』について、真剣に話し合いが出来たのはこの時が初めてだったかもしれません。
最終的に『どれだけやっても後悔すると思う。だけどお義母さんのために少しでも出来ることを考えて精一杯やろう!!』と2人で決めました。
出来ることは沢山ある。でも何をどれだけやっても絶対に後悔する
それでも沢山考えて出来ることを精一杯やってあげることが大切です!
闘病中・余命宣告を受けた家族にできることその1・テレビ電話で簡単に繋がれる環境を整えてあげよう
お義母さんの一番の元気の源は『初孫』でした。
私の主人は三人兄弟の次男。結婚しているのは主人だけで、息子はご両親にとって念願の初孫になりました。
出産して2週間ほど経ったときに北海道からお義母さんがヘルプしに来てくれました。
毎日主人の帰宅は21時過ぎ。新生児を1人で育児することが本当に不安だった私にとって、お義母さんが来てくれたことは本当に嬉しく頼もしかったことを覚えています。
お義母さんも息子と過ごす日々がとても幸せそうでした。
その時にLINEを覚えてもらい、北海道に帰ってからも毎日の写真送付は欠かすことはなく、タイミングが合う時はテレビ電話も良くしました。
インターネット環境さえ整えば、写真や動画を送ったりテレビ電話をすることが簡単に出来ます。
お義母さんは頑固でガラケーからスマホに変えることをしなかったので、使ってないiPadを送って、ネット環境だけ主人が整えてLINE電話を覚えてもらいました。
メッセージの返信することが困難な状況になってもテレビ電話の通話であればタップだけで簡単に繋がることが出来ます。
お義母さんが弱音を吐きたい時は、こっそりと私にLINEでメッセージを送ってくれました。顔を映さずにテレビ電話で弱音を吐いてくれる時もありました。
テレビ電話は元気を出してもらいたい時に息子と主人の顔を見てもらう為に使いました。
結果的に、最後にお義母さんと会話が出来たのはLINEのテレビ電話でした。
10年前は考えられない時代です。電話、メール、動画、テレビ電話、簡単に出来る時代です。するか、しないかを選ぶことが出来ます。
『選べる状況』は余裕がある状況です。余裕がある状態のときは、誰かの為に行動に移して欲しいと思います。
年齢が高い世代は新しいことを取り入れるのに時間がかかります。めんどくさいと思われてしまいますが、そのハードルさえ取っ払うことができると、案外すんなりと受け入れてもらうことが出来ますよ。
ネット環境さえ整えば、タブレットを使ってテレビ電話ができます。簡単にテレビ電話ができることを教えてあげると世界が広がります。私は祖父母にスマホをプレゼントしてそれを体感しています。びっくりするくらい電話の回数が増えました。
闘病中・余命宣告を受けた家族にできることその2・贈りたい時に花を贈ろう
母の日、誕生日、お義父さんとの結婚記念日。
嫁の私からお義母さんにお花を贈ることが出来る記念日は意外とあります。私も母に花を送るようにしていました。
最初は生の花を選んでいましたが、入院生活が長くなると『生花は直ぐに枯れてしまう』と悲しそうに言っていた自分の母親を思い出して、ブリザーブドフラワーに切り替えました。
花屋さんが沢山ある意味を知っていますか?『贈りたい時に花を贈れるようにするため』です。
記念日にお花を贈ることを最近忘れていませんか?
忘れないでください。選択出来る時=余裕がある状態です。
贈りたい時に、今すぐ家族に花を贈りましょう。
贈りたい時に今すぐに家族に花を贈ろう
闘病中・余命宣告を受けた家族にできることその3・美味しいと思ってもらえる物を食べてもらおう
健康食品に限らず、とにかくお義母さんが好きそうな食品を見つけては通販で購入して贈りました。
お義母さんはこだわりが強くて甘い物を探すのもなかなか大変でしたが、マヌカハニーは紅茶に溶かして飲んでくれました。
私名義で購入しても必ず主人の名前で送付をして主人から
と言って貰いました。
嫁の私から伝えるよりも息子から言われた方が絶対に嬉しいと思ったからです。
私も一応息子を持つママなので効果はその方が高いと今でも思っています。
『食べる』ことが困難であっても『美味しいものを見ること』や『味わうこと』『匂い』も生きる力になります。
『美味しい』と思ってもらえる物を探してご家族にプレゼントしてみてくださいね。
美味しいと思ってもらえる物を食べてもらおう
闘病中・余命宣告を受けた家族にできることその4・逢いに行ける時に逢いに行こう
>>地方出身の主人と結婚するメリット・デメリットにも書いたのですが、
逢いたい時を選んで逢いに行くのを辞めて『逢いに行ける時に逢いに行く』ことを徹底しました。結果、10か月でお義母さんに3回逢いに行きました。
それでももっと逢いに行けた。と今は後悔しています。
北海道に行った時は、お義母さんが望む限り、体調を考慮してもらいながら面会時間をフルに使って主人と息子と過ごしてもらいました。
家族と過ごす時間は、最高の治療になることは間違いありません。
逢って、触れて、話しかけて、笑顔を見せるだけで幸せな気持ちまでも共有することが出来ます。
逢いに行けるときに、家族全員で家族に会いに行きましょう。
逢いたい時を選んで逢うのをやめて→逢いに行ける時にできるだけ逢いに行こう
詳しくは>>『格安航空会社』国内航空券エアトリVSさくらトラベル金額を比較してみた!もどうぞ
さいごに
- テレビ電話で繋がる環境を整えてあげよう
- 贈りたい時に花を贈ろう
- 美味しいものを食べてもらおう
- 逢いに行けるときに逢いに行こう
主人と結婚したことで、私には2人目のおかあさんが出来ました。
息子を産んだ時、自分が母親になって気が付いたおかあさんの懐の広さ、存在の大きさ。偉大さ。
私もいつかあんな風に寛大な心を持った優しいお母さんになりたい。
目標となる人を2人が居なくなってしまった悲しさ、寂しさを胸に閉まって前向きに生きていきます。
おかあさんと呼べる人が居なくなってしまったからこそ、私自身が強いお母さんになりたいと思っています。
近くに居る人を大切に。当たり前を当たり前と思わずに前向きに生きていきます。